本と珈琲、ときどきチョコレート

観たり、聴いたり、心が動いたり…日々の記録

映画「怪物」

映画「怪物」を観た。

とても良かった。

「誰も知らない」を観た日が今も忘れられないように、

「怪物」を観た今日は、忘れられない日になるだろう。

 

 

 

(以下ネタバレを含む感想です)

 

 

 

息をのむような美しいラストシーンが目に焼き付いてる。

 

物語は行きつ戻りつ、重なりつつ進んでいく。

 

「え、え?どうなっちゃうの?」「どういうこと?」「何?何?」って、観ている私はどんどん物語に巻き込まれていく。

 

怪物は、学校?世間?自分自身?

 

胸がギュっとなるようなどこか懐かしさを感じさせる映像と、

俳優の表情ひとつひとつが心に刻まれる。

 

安藤サクラさん、黒川想矢さん、田中裕子さん…すごいなぁ。

(田中裕子さんは、「いつか読書する日」でもすごく良かった。)

 

私は、息子が湊とほぼ同年代だからか、早織に感情移入して、冒頭から泣いてしまった。

早織はすごくリアルだった。

 

早織の立場で観ていた私だけれど、

物語の視点が変わると、かつて映されていた画面の中で素通りしたシーンや気に留めなかったセリフが生々しく浮き上がってくる。

 

あぁ、こんなに残酷だったんだ…と気付くし、

あぁ、こんなに美しかったんだ、と知る。

 

息子についても、先生についても、学校についても、自分が知っていることって一つの側面だけ。その一つの側面だけで、自分の中で物語ができていく。特に追い詰められたり不安な時はすごいスピードで〈私の〉物語ができていく。画面を通して、そんな様を突き付けられた。

 

良い映画だった。

 

そして、坂本龍一さんの音楽が素晴らしかった。心の深いところで広がり響く音楽。

 

 

【追記】

この映画で突き刺さった、

〈善人〉の暴力性とか、〈無自覚〉の怖さや、セクシャルマイノリティのこどもについても、ちゃんと考えたいと思う。