“君たちはどう生きるか”
ついに観てきた!
(以下本と映画のネタバレを含む感想です)
吉野源三郎さんの本『君たちはどう生きるか』を3年前に読んだ時、この本が1937年に書かれたということに驚いた。
この本に描かれたコペル君の悩みや苦しみ、成長や友だちとの交流、叔父さんからの手紙は現代を生きる私にとっても、新しく瑞々しく発見に満ちている。
本を読み終えた時、「息子が大きくなったら読んでほしい」と私は思った。
(私に娘がいても、同じように思っただろう)
なぜなら、この本は、人が世界の不思議に出会った時、悲しみや辛さ、苦しみに出会った時、自分を見つめる時、力になってくれる一冊だと思うから。
宮崎駿監督の映画化、ずっと観たかった。
観たい、観たいと思い続けて、晩秋になった。
映画館で観ることができて良かった。
驚いたのは、映画は原作とは全く別の話だったことだ。
吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』の映画化ではなく、
宮崎駿版「君たちはどう生きるか」だった!
原作と全く違って最初戸惑ったけれど、
まぁ、それはいいのだ。
今も映画の渦の中にいる感じだ。
映画ってすごいなぁ。
宮崎監督が、あの本を読むと、こんな世界が創りあがるんだなぁ。
圧倒された。
画の力、躍動するキャラクターたちはもちろん、
宮崎監督の、今・この世界で生きていくことを肯定していく力に圧倒された。
醜さや過ち、嘘、強い者が弱い者を見下し、死の悲しみや多くの人の犠牲の上にある富や豊かさ…。
この世界のグロテスクさが生々しく、時に静かに描かれ、浮き彫りにされる。
マヒトが自分の嘘を告白し、〈この世界〉と違う場所で世界を作るのではなく、〈この世界〉で生きていく、友だちと生きていくことを選んだ時に、
宮崎監督、この映画を作ってくれてありがとうって思った。
「もののけ姫」は勧善懲悪でない世界を、「風立ちぬ」では善人の無自覚な残酷さを描いた宮崎監督。
監督の作品は、人の醜さや割り切れなさを描きながら、人が生きていくこと、世界が続いていくことを肯定し続けてくれる。
実際、監督が世界を肯定的に捉えているかはわからないけれど、
私は作品からそう感じている。
良い映画でした。
でも湧きあがったモヤモヤもあって…!
宮崎映画の描く〈母性的〉ヒロインにモヤモヤするんだよなぁ…。
ナウシカやサツキ…、今回はヒミとナツコさんはずばりお母さんだし。
なんだろう、このドロッとモヤっとした感情…。
あと、これはあらためて思ったことだけど、
宮崎監督って、ほんとに空を飛ぶもの、鳥や飛行機が好きなのね!!
好きが溢れてるよ!!
他にもいろいろ感想が渦巻いてるけど。
今はここまで。
この映画、いろんな人が感想をブログや動画でアップしていて、
観る前にそれを読んだり、観たりしないように耐えるのが大変だった!
これから、皆さんの感想も読むぞー。わくわく。