本と珈琲、ときどきチョコレート

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長倉洋海さん講演会『アフガニスタン 山の学校とアクバル君』

9月25日(土)は、クレヨンハウス子どもの本の学校主催、オンラインでの長倉洋海さん(フォトジャーナリスト)の講演会だった。

長倉さんは、旧ソ連アフガニスタンに軍事介入した1979年の翌年1980年からアフガニスタンの人々を撮り続けている。

 

2021年8月16日、アフガニスタンの首都カブールを、タリバンが制圧したというニュースが耳に入り、「大変な事になった…。でも、一体どんな状態なのだろう…」と銃を手にするタリバン兵士達の姿が映されるたびに、胸がギュッとした。そこに暮らす人々、特に子どもや女性はどのような状況なのだろう…と思っていた時、長倉さんの講演会があることを知り申し込んだ。

 

長倉さんは、アフガニスタンのパンシール渓谷の山の学校を支援し、その学校の子ども達や村の人々の写真を撮っている。

 

スライドに映し出された子ども達、村の人たちの写真はとても明るく、物は無くても豊かさが伝わり、そしてそれを説明する長倉さんがそこに住む一人一人をとても大切に思われていることが伝わり、なんとも温かい気持ちになった。

 

朝5時に起きて、家畜の世話や水汲みなど家の仕事をしてから、学校に通う子ども達。初期の写真では、学校に窓ガラスがなく、子ども達は床に座って授業を受けている。その後窓ガラスができたが、隙間風の入る教室。だんだん建物もしっかりして、ブレザーを着ておしゃれをして通学している子もいる。真剣な眼差しで黒板を見つめる子、熱心に本を読む子、書き留める子…。下校の時間はみんな団子になって笑顔で走っている。その表情は、私が下校時間に見かける地域の子ども達の様子と同じだ。かわいくて、キラキラしていて、元気。

村人達が作った学校は男女共学で、熱心にコンピューターを学ぶ女子生徒の写真もある。

 

今、パンシールはタリバンに抵抗し、激しい戦闘も起こっているという。

山の学校はどうなっているのだろう…。子ども達は…。

 

少し年上の女の子たちの写真もあった。いつも成績優秀な女の子。将来は医師になりたいという夢があるという。法律家を目指す女の子もいる。

タリバン政権下で、女の子達の夢はどうなるのか…。

 

長倉さんの話を聞きながら、涙がこぼれる。理不尽さ?無力感?罪悪感?何度も胸がギュッとする。

 

でも、この講演を聞いて良かった、写真を見て良かったと思ったのは、長倉さんが希望を持っていて、それを伝えて下さっていることだ。

 

一つ一つの言葉が心に残った。

 

「写真を撮ることは、その人の中の光を見つけること」

「マクロで見ている時は他人事(ひとごと)になっている。

ミクロで見ること。一人の人、一つの家族、一つの地域…」

「具体的に見ること、見続けること、時間を掛けること」(長倉さん)

 

 

私に何ができるのだろう…と、無力感や、罪悪感から、現実から目を背けたくなる時、

ただ一人のそこに確かにいる人のこと、その生活を見ることで、

「自分事」に近づくのだと思う。

 

 

 

アフガニスタンの人たちは、Twitterを通して、大変な状況の中、恐ろしさの中、今起こっていることを写真や言葉で伝えている」(長倉さん)